九谷焼の絵付けを体験してみた!金沢の伝統工芸の凄さを実感

2020年12月16日水曜日

伝統工芸を体験してみた

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いきなり本題ですが、金沢で九谷焼の絵付け体験をしてきました!


和文化の定理のコンセプトは「伝統文化を自らやってみて、過程を発信する」ことなので、金沢では絶対に九谷焼を体験しようと思っていたんです。もちろん弟子入りレベルの濃い体験には遠く及びませんが、カジュアルにでも絵付け体験をすることで、今まで分からなかった九谷焼の魅力や職人の技量を発見することができました!


この記事では、私の絵付け体験の過程とともに、九谷焼のここが凄い・ここが難しいと思ったことを紹介していきます。

絵付け体験の流れと発見

まず、体験した手順とやりながら発見した九谷焼の凄さ・難しさを紹介していきます。


なお観光客などが体験するものなので、本来の九谷焼よりも工程が少なくなっています。下絵付け的な工程と上絵付け的な工程をほぼ同時に行うなどですね。プロの方々と同じ工程ではないことはご容赦ください。

①絵付けする食器(素地)を選ぶ

今回絵付け体験をさせていただいたのは、金沢市内の『野村右園堂(のむらうえんどう)』さんです。絵付けできる食器(素地)には、大小さまざまなお皿や湯飲み、マグカップなど色々な種類がありました。


私が選んだのは五寸皿。直径約15センチで、中くらいのお皿です。大きくも小さくもないお皿で、なぜこのサイズを選んだのか、今となっては思い出せません。本当なぜ?

②墨で下書きをする

食器を選んだら、どんな絵を描くのか薄い墨で下書きしていきます。墨はできるだけ薄く書いた方が綺麗に仕上がるそうです。


墨は湿らせた布で拭けば取れるので、いくらでもやり直しができます。失敗しても大丈夫!



私は〇をたくさん描くデザインを構想したのですが、同じ大きさの〇を描くのが案外大変でしてね…普段、絵を描かないどころかペンも握らないので難しかったです。たくさん書き直しをしました。

③輪郭を描く

墨の下書きをなぞるように、輪郭を描いていきます。ここからは本描きです、いよいよ本番!


「なるべく濃く、しかし細く」描くと良いとアドバイスをいただいたのですが、これが激ムズでした…!「濃く太く」または「薄く細く」なら分かるのですが、「濃く細く」です。絵を描きなれていない私には無理…!


しかも鉛筆のように扱い慣れている文具ならまだしも、筆で描くんです。手の震えが筆の先に伝わるので、線がガタガタになってしまいました…!



その上、めちゃめちゃに時間がかかるという…輪郭を描く工程が一番難しかったです。輪郭だけで1時間近くかかってしまいました。先生の作品を見ると線がスーッとしてるんですけど、どうしたらあんな線が描けるんだろう?


ちなみに野村右園堂さんでは、輪郭の色は黒か赤の2種類から選べます。私は黒をチョイスしました。


あと、輪郭も修正できます。失敗しても湿らせた布で吹けば、あらかた取れます。ただ、乾燥してしまうと取れにくいので、失敗したと思ったら早めに拭いた方が良さそうだな、と思いました。

④色を塗る

緊張の輪郭が完成したら、いよいよ色を付けていきます!色付けの工程はとても楽しかったです。


野村右園堂さんでは、20色もの色の中から好きな色を選んで使うことができます(輪郭の黒を含めると21色!)。種類の制限も無いので、20色すべて使っても大丈夫だと思います!



先生に「○○色をお願いします」と言って色絵具を貸してもらうのですが、ここでもビックリしちゃった。できあがりの色と絵具の色が全然違うんですよー!



こちらは左が黄色、右が緑の絵具。九谷の鮮やかな黄色と緑になる絵具ですが、焼く前はぼんやりした色合いです。ってことは、職人さんは焼き上がりを頭の中でイメージしながら、目の前にある全然違う色の絵具で絵付けしていくんですよね。それも凄いな。



なお、テクスチャーはこんな感じでトロッとしています。細かい模様に色を付けるのは非常に大変です。絵が細かい作品を見る目が変わりました。


私は伝統的な九谷五彩をイメージし、緑(青)・黄・紫・紺・赤の5つを使いました。色を載せるときは、ぷっくりと盛り上がるくらい載せるのが良いのだそうです。



結果論ですが、完成品を見たとき、黄色はもっとたっぷり載せても良かったな~と思いました。薄い色は濃い色よりもたっぷりつけると、九谷らしい鮮やかな色彩に仕上がると思います!

⑤焼いてもらって完成!

色付けが終わったら、焼くのは先生にお任せしてお会計です。体験から3週間から1ヶ月で自宅に到着するとのことです!(焼く工程も実は大変ですよね…お客から預かったものを、絶対に割ってはいけないですから…)


私の家にも美しくなった我が子が到着しました!じゃーん!



おお~、とても鮮やか!焼く前はぼんやりした色合いだったのに、九谷らしい鮮やかな色がしっかり出ています。


色をつけるときは絵具をぷっくり置いたのですが、焼くと少ししぼんだかな?という印象です。先にも書きましたが、黄色はもうちょっとしっかり載せても良かったですね~。



絵具の中でヒビが出てるの、分かります?黄色が分かりやすいかと思うのですが。私のお皿の場合、黄色と緑の中にヒビが入っており、すごくお気に入り。


良いのか悪いのか分からないですが、澄んだ絵具の中にピキピキした線が入ってるの、とても綺麗だなぁと思います。ガラス細工みたい。



輪郭はガタガタしてるし、色はムラがあるし、素人丸出しのお皿ですが、とってもお気に入りの1枚になりました。パンとか載せられるようにシンプルなデザインにしたのですが、どうしよう、愛しすぎて使えません!!

やって分かった九谷焼の職人の凄さ

絵付け体験をしただけでも、職人さんの凄さが分かりました。例えば以下のような凄さを実感できました。


  • 筆でしっかりした線を描けること自体が凄い
  • 焼く前後で絵具の色が変わるので、焼き上がりを計算して描く必要がある
  • もったりした絵具なので、細かい模様や均一な色付けは難しい


体験する前は、九谷焼の魅力は鮮やかな色彩とコントラストだと思っていました。しかし体験してみると、それに加えてナチュラルな線の凄さや、均一でムラの無い色付けの凄さも実感できるようになりました。


制作者の方々へのリスペクトが高まるなぁ。カジュアルな絵付け体験でも多くを学べるし、これからの工芸品鑑賞にも活かせそうです。

絵付け体験をさせていただいた店舗

今回は『野村右園堂(のむらうえんどう)』さんにて、絵付け体験をさせていただきました。兼六園や金沢城公園から徒歩でアクセスできる好立地!



1階がショップ、2階が体験スペースになっているので、体験とプロの作品のお買い求めを一度にできちゃいます。絵付けを教えてくださった先生も優しく、絵付けのコツをたくさん教えてくださいました。


絵付け体験の申し込みはお電話で。公式ホームページはこちらなので、電話で日時を予約してから訪問しましょう。

野村右園堂 公式ホームページ
絵付け体験 申し込みページ


ややPRっぽくなってしまいましたが、今回の記事は私の方から紹介させてください!とお願いしたもので、PR依頼ではありません。制作中の写真撮影などもお願いし、先生に許可をいただいて撮りました。


一般客として体験させていただき楽しい経験ができたので、皆さんにもお知らせしたいな、と思いましてね。


野村右園堂さんでは、伝統的な九谷五彩だけでなく、計21色もの色を使わせていただけます。表現の幅も広がるし、楽しい絵付け体験ができますよ!

【まとめ】金沢に行くなら九谷焼の絵付けを体験しよう!


九谷焼の絵付け体験と、体験を通じて感じた九谷焼の凄さを紹介してきました。筆で線を描くことの難しさなど、考えてみれば当たり前のことですけど、体験することで身をもって学ぶことができました。


絵付け体験は楽しいので、皆さんも金沢を訪れたらぜひ!1時間半くらいガッツリ集中できます。絵付け以外のことを全く考えない、ピュアな没頭時間でした。


普段は、メールや電話、打ち合わせ、上司・部下との会話で中断するため、自分の仕事に1時間以上も没頭できることって無いと思います。精神を落ち着け、1つのことだけを考える贅沢な1時間半でした。こういう時間、現代人にこそ必要なのではないでしょうか。


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