秋と冬の狭間、京都を彩る『嵐山・花灯路』 2021年ラストイヤーをレポート!

2022年1月23日日曜日

京都の行事・イベント

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夜が長い冬が来ると、京都もそこかしこがイルミネーションで彩られます。ただ、キラキラで表参道や六本木のようなイルミネーションを見ると、なんというか「京都の良さはいずこへ……」という気持ちになります。


そんな中、古都の美しさを引き出すイルミネーションを企画しているのが、『京都・花灯路』です。「灯り」をテーマに新たな観光資源を創り、京都の夜の風物詩となるべく、毎年決まった時期に開催されています。


2003年に清水寺のある東山地域で始まり、2005年には嵯峨・嵐山地域でもスタート。今回は嵐山・花灯路へ行ってきました。



クリスマスに媚を売らない古都のイルミネーション、良いですね〜。「京都の魅力とは何か?」「京都にふさわしいイルミネーションとは?」にしっかり向き合った事業で素晴らしいです。話題になれば良いだけの、ゆるふわ観光事業とは違うのだ。


残念ながら、嵯峨・嵐山での花灯路は2021年で終了。17年の歴史に幕を下ろすことになり、嵐山のライトアップも最後となりました。


2022年を迎え今さら感のある記事ですが、どうしてもラストイヤーの様子をウェブ上に残しておきたい! 写真を多めに紹介していきます。

2021年の嵐山花灯路の様子


嵯峨・嵐山エリアが広くライトアップされるこのイベント。最寄駅は、JR嵯峨嵐山駅嵐電の嵐山駅あたりです。渡月橋を渡った嵐山側からいらっしゃるなら、阪急の嵐山駅も使えます。



私はJR嵯峨嵐山駅で降り、道を照らす行燈に導かれるように散策開始。柔らかい光がぼんやりと足元を照らし、地面の美しさにもハッとさせられます。


JR嵯峨嵐山駅から渡月橋に向かう道沿いには、洒落たカフェや和菓子屋さんが乱立していました。もう少し早い時間帯に着いていたら、一服したかったな。



渡月橋に近づくにつれ、お土産屋さんや飲食店が増えてきます。コロナ禍でアレですが、平常時は食べ歩きも人気なのだそう。地元の名店はもちろん、リラックマストアなど今風のお店も多々ありました。



こちらはミッフィーストア。夕闇で上から照明を受けてホラー化したミッフィーさん。

嵐山と渡月橋のライトアップ

嵯峨・嵐山エリアといえは、渡月橋と嵐山! 嵐山は青と緑の寒色でライトアップされていました。



嵐山花灯路の12月は、紅葉の見頃が終わる時期。この記事を書いている1月現在、嵐山には雪が薄く被さっています。


すなわち花灯路の時期は、紅葉と雪のちょうど中間、季節の変わり目です。あえて寒色で照らすライトアップは嵐山の新たな表情を見せてくれるとともに、赤い秋と白い冬の狭間にある短い時間そのもので、時間の無常さや人生の儚さを思うのでした……。



渡月橋は、橋の上空を移動する月を眺めた亀山上皇が、「くまなき月の渡るに似る」と言ったことから名付けられました。承和年間(834〜848)に橋が架けられたのが最初とされており、現在の橋は昭和9年(1934年)6月に完成したそうです。


ライトアップを楽しむのはもちろんですが、桂川が流れる音も楽しみたいところ。人が少ない場所に行くと、ザーザーと心地よい音が耳を満たし、世俗のことなんてどうでもよくなります。


渡月橋を渡って中之島公園は、展示や屋台で賑わっておりました。



嵯峨中学校の生徒が制作した露地行燈と竹製行燈や、嵯峨美術大学の学生による行灯のフォトスポットなどがありました。



創作行灯デザインコンペの歴代最優秀作品が一堂に会し、幻想的な和のイルミネーションに。非日常感があるのに、気持ちが落ち着く暖かみのある光景ですよね。電飾でキラキラ照らす華やかなイルミネーションとは違い、趣き深いというか、心の奥深くを刺激するような……。


綺麗の一言では表現し切れない、情緒を感じる灯りです。今年でおしまいなの、本当にもったいないです……。



中之島公園には屋台も出ておりました。串焼き、あゆの塩焼、いか焼き、ベビーカステラなどいろいろな食べ物がありましたが、おそらく屋台は1つです。たった1店舗で多様なニーズに応える、超マルチタスク屋台でした。

竹林の小径・竹林の散策路ライトアップ

渡月橋と並んで嵐山の名所として知られるのが、竹林の道です。背の高い竹が生い茂り、普段は爽やかな風景ですが、花灯路の期間はこちらも寒色系にライトアップ。



もはや何を撮ったのかわからない……。直線に伸びる竹と鮮やかな光が幾何学模様を作り、そこに空間があるはずなのに遠近感を失ってしまう、不思議な世界でした。


竹の高さは12〜15メートルで、高いものは20メートルを超えるそうです。冷静に考えてみると、これだけ高さのある竹を下から上まで均等に照らすのは、かなりの技術力が必要なのでは。こういうところにも、ゆるふわインバウンド事業ではなく、ガチの企画なんだなと感じます。



しかし竹も、ここまで背が伸びて密集すると、絶景になるものですね。頭の上まで竹が伸び、竹に閉じ込められてしまいそう。


萩原朔太郎の詩『竹』の世界そのものです。「たかが竹」と思ってる人にこそ見てほしい。人間を圧倒する自然のパワーを感じられます。

NAKED, INC. と村松亮太郎のデジタルアート

今回の花灯路にはNAKED, INC.とその代表、村松亮太郎さんが参加しており、プロジェクション技術などを使ったデジタルアートがありました。「そういうのが古都の雰囲気を台無しにすんねん!」とあまり期待していなかったのですが、意外な相乗効果があり、とても良かったです。



竹林の散策路に設置された『DANDELION PROJECT』は、来場者のスマホと連動する作品。スマホを操作して自分の綿毛を作り、それを竹林の小径に設置された大きな綿毛にかざすと、周りに光の綿毛が舞う、というものです。


世界をつなぐ平和のプロジェクトらしいのですが、混雑人は流れ作業ですし、そこまで味わう余裕があるかどうかは……ちょっとわからない。でも、カラフルなデジタルアートは色数が少ない竹林に映え、バランスの良い展示でした。



ほかにも、NAKED, INC.は提灯やアルコール消毒、おみくじなど、デジタル技術を使った作品がありました。いずれもお花をモチーフにしており、花灯路のコンセプトにしっかり嵌っておりました。

いけばなプロムナード

会場内には、京都いけばな協会による大きな作品が展示されていました。全10箇所で、各所に散らばっています。



花灯路の「花」なので、灯りとともにこのイベントを盛り上げる大切な存在が、いけばな。日没後の暗い時間帯、下から光を当てられるのは、いけばなの展示では珍しい環境だと思います。そんな環境でも見えるようにか、枝ぶりが面白い花材や鮮やかな色彩が使われ、見応えのある作品でした。


いけばなの流派といえば、池坊、草月流、小原流あたりが有名でしょうか。京都にはほかにもたくさんの流派があり、各流派が競演する豪華な展示でした。花展としても楽しめますね。

夜間特別拝観とライトアップ

嵯峨・嵐山エリアには、神社やお寺もたくさんあります。花灯路の期間中、一部は夜間拝観ができたり、ライトアップされたりしておりました。


宝厳院とか行ってみたかったんですけど……道に迷って諦めました。方向音痴すぎて、目的地がどこかわからないばかりか、自分がどこにいるかもわからなくなるのですよ……。

夜ご飯は『嵐山亭』で自家製うどん

夕方から散策し始め、19時過ぎにはお腹が空いてきたので、夜ご飯をいただくことに。中之島公園にある『嵐山亭』で、湯葉うどんをいただきました。



京都の名物、湯葉を使ったおうどんです。大豆由来のまろやかな湯葉と、すっきりした出汁が上品なコクに。うどんは少し柔らかめで、湯葉の繊細な食感とよく合っていました。わさびを溶くとピリッと味が変わり、湯葉の甘味とわさびの辛味が、お互いに輪郭を引き立て合いますね。


湯葉は温めた豆乳の表面を1枚1枚すくって作るもので、手間がかかるのでお高い食材。京都ではよく使われる食材で、うどん屋さんでも定番メニューです。



余談ですが、嵐山亭の店員の女性が、元気ハツラツで可愛らしかったです。少し年下かな、20代くらいの方。標準語のイントネーションで接客しようとするのですが、徐々に方言のアクセントが混ざってくるの。プロ意識の向こうに見え隠れする、彼女の日常を感じたのでした。


嵐山亭 公式ホームページ⇒http://arashiyamatei.com/

【まとめ】嵐山・花灯路、来年も見たかったな……


和紙のような薄い紙を透過する間接照明的な光、足元を柔らかく照らす露地行燈、日本の美を受け継いでアップデートするいけばな、さらに嵐山に渡月橋、竹林という平安時代からの名所。「京都に求めるイルミネーション」ど真ん中すぎました。


華やかな電飾を徹底して避け、「古都の世界観」にシビアで、ライトアップの技術も高いし、素人離れしたイベントでした。プロのアートディレクターやクリエイティブディレクターが企画に入っているんじゃないかと思います。え、入ってない? そこのあなた、プロとして通用するレベルだと思いますよ!



本当に美しい。今年で終わりなんてもったなさすぎます。


終了の理由はわからないですが、コロナ禍の難しさだけでなく、観光地の問題があったのかなあ、と漠然と思います。住民が普通に住んでいるエリアも含みますからね。大半のお客さんは問題なくても、一部の少数のマナーが悪かったら、地域の暮らしが打撃を受けますもの……。


それでも国内外の観光客に頼らざるを得ない矛盾に、京都のみならず日本の課題があるわけですが……せめて私は、騒がず粛々と楽しみ、ゴミは持ち帰るなどして協力しよう、と気を引き締めました。



なお、嵯峨・嵐山の花灯路は2021年で終了ですが、東山エリアの花灯路は特に情報がなく、継続すると思われます。毎年3月に開催とこのとで、桜が咲き始めるシーズンですね。どんな景色が見られるのか、今から楽しみです。

2021年の嵐山・花灯路の概要

日時:2021年12月10日〜12月19日
点灯時間:17:00〜20:30


渡月橋や竹林の小径は、時間帯別の観光快適度(要するに空いてるか混んでるか)や、ライブカメラ映像の配信もあります。花灯路の期間中のみならず、24時間365日見られるので、観光の参考にしてくださいませ。

https://ja.kyoto.travel/comfort/

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千葉生まれ千葉育ちの美術ライター、明菜は京都に転居しました。日本の文化や伝統を学び、京都に染まって帰郷するべく、『和文化の定理』では京都のリアルな暮らしを発信します!

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